その背中、抱きしめて 【下】
「違う…呼び捨てがいい」
切なそうで苦しそうな高遠くんの顔。
こんな顔は見たことない。
(ほんとにどうしちゃったの…?)
呼び捨てなんて余計に緊張するし恥ずかしい。
でも、高遠くんのお願いだから…。
「か…、翔…」
うつむいて小さい声で言うのが精いっぱい。
でもそれじゃ許してもらえなくて
指で顎を上に向けられて
「もう1回」
高遠くんの瞳が揺れる。
「か…翔」
「もう1回」
「翔」
「もう1回」
「翔っ」