その背中、抱きしめて 【下】
エスカレーターを降りたそこにいたのは…
「たか…とお…くん」
エスカレーター横の壁に寄り掛かって、こっちを見てる。
ううん。
”私”を見てる。
ホームに入って来た電車に、高遠くんに腕を引っ張られて乗った。
今のこの状況に頭が追い付かない。
何で高遠くんが待ってるの?
内村さんは?
高遠くんの顔をまともに見れない。
目線はずっと自分のローファーのつま先。
そして、震える左手でセーラー服の裾を掴んだ。
震える右手は…高遠くんが握ってる。