その背中、抱きしめて 【下】




『ゆず』



洋平くんの真面目な声。

一瞬、ドキッとする。




『強がんな』


それは、優しいけど強い言葉で。

胸の奥が締め付けられた。




『あんな場面とあんなゆず見ちゃったんだ。俺はゆずを見捨てない。だから俺の前では強がんな』


本当に守られてるような感覚。

電話越しだけど、洋平くんがすぐ目の前にいてくれるような感覚。



『今はパニクって話せないかもしれないけど、落ち着いたらゆずの腹ん中に溜めてるもん全部俺に吐けよ。電話でもいいしLINEでもいいし、会って直接だっていいんだからさ』



洋平くん


洋平くん



「ありが…と」



新学年になってすぐに、こんなに親身になってくれる友達と出会えるなんて思ってなかった。


この辛さを全部受け止めてくれる人に出会えるなんて思ってなかった。




悲しい涙のあとに、嬉しい涙が1粒落ちた。



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