その背中、抱きしめて 【下】



今日は午後からバスケ部が体育館を使うから、12時で練習終了。

結局最後まで高遠くんの調子は戻らなくて、本人はイライラからゲンナリに表情が変わっていた。


着替え終わって校門まで歩いて行くと、いつも通り高遠くんが待っててくれてる。


「ごめんね、お待たせ」

(いつも通りいつも通り…)


自分に言い聞かせて声をかければ、若干ぎこちないような気はするけど、ほぼいつも通りの

「大丈夫」

っていう返事が返ってきた。


(でも、ここはあえてツッコもう)

荒療治だと思って…ごめんね高遠くん。

心の中で謝って、一気にまくし立てる。


「そういえば、どうしたの?スパイク全部ふかすとか高遠くんらしくないじゃん。相川くんも桜井くんも心配してたよ」



そして言い終わってから後悔する。

高遠くんの猛烈に冷たい視線を浴びてることに気づいて、背筋が凍る。



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