冷徹社長が溺愛キス!?
「来年は登山以外のことを検討したほうがよさそうだ。俺はもう二度とあんな目に遭うのはごめんだ」
言っていることはキツイのに、笑顔のせいか全然堪えない。
それどころか、彼の微笑みにドキッとしている私がいて戸惑う。
「社長、ぜひそうしてください。登山じゃないことで親睦を深めましょう」
登山嫌いの麻里ちゃんが、ここぞとばかりにアピールした。
「沢木もそう思うか」
「はい」
力強く麻里ちゃんが返事をする。
そして、すぐにひとつ上の階、私たち総務部のフロアに到着。
ドアが開くと社長に一礼して、エレベーターを降りる。
足の速い麻里ちゃんの背中を追って小走りに駆けだしたときだった。
「奈知」
社長が私を呼び止める。
その声に振り返ると、閉まりかけたエレベーターの扉は、加藤くんが咄嗟に開ボタンを押したことで再び開いた。