冷徹社長が溺愛キス!?
「あれは宿題だ」
「……あれ、ですか?」
何のことかと首を傾げると、社長の顔がにわかに曇る。
「しりとりだ」
ムッとした口調で言われて、ようやく思い出した。
なんの言葉で終わったんだっけ……?
えーっと……。
頼りない記憶を辿っていると、社長から大きな溜息が漏れ聞こえた。
「“アキレス”の次だ。花の咲いてる頭でよーく考えておけ」
言い終わるなり、社長は自分で閉ボタンを押して扉を閉めた。
エレベーターが上がって行く様子を表示パネルでぼんやりと眺める。
アキレスの次だと……“す”で始まって“き”が入る言葉だ。
うーん……なんだろう……。
あのしりとりが続いていたとは思いもせず、花が咲いていると言われた頭で考える。
「ねぇ、奈知」
先に行ったとばかり思っていた麻里ちゃんが、私のすぐうしろから意味深な言い方で呼んだ。