冷徹社長が溺愛キス!?
オンラインゲーム事業部でプログラマーを担当している。
「おはようじゃないですよ。本当に雨宮さんときたら、いつだってのんびりしているんですから困ったものです。いったいどれだけ僕を待たせる気ですか」
黒縁メガネのふちを右手で上げて私を鋭く見る。
根元を無造作に立ち上がらせたショートヘアに一重瞼の細い目。
パッと見、外見は悪くないのに、上から目線の口調がどうしてもその邪魔をする。
丁寧口調がそれを余計に際立たせるのかもしれない。
同期入社で同じ歳の私や麻里ちゃんにも、ですます口調で話すのだ。
「本当にごめんね。てきぱき動くように気をつけてはいるんだけど……」
謝りながらパソコンを立ち上げる。
会議室の承認で待っていたのは、加藤くんだったのだ。
「ほぉ。それでも気をつけているのだとしたら驚きですね」
淡々と毒舌を吐く。
私だって焦っているのだから、少し黙っていてもらえるとありがたい。
「ちょっと、加藤くん、あんまり奈知をいじめないでよね」
隣のデスクから、すかさず麻里ちゃんが助けてくれた。