冷徹社長が溺愛キス!?
◇◇◇
何かが頭に触れているような、そしてそれが撫でるようにゆっくりと動くのを感じながら、うつらうつらと夢と現実の狭間を漂う。
それが心地良くて、目覚めそうになっては、再び眠りの世界に引き戻される。
そんなことを繰り返していると、不意に頬を引っ張られるような感覚がした。
今までとは違う感触に、夢から急速に覚醒。
目を開いた先にあった顔が、一気に私を目覚めさせた。
驚きに目を見開くと、社長はニマっと嫌な笑みを浮かべる。
頬を引っ張られていたのじゃない、社長が私の頬を抓っていたのだ。
意地悪に笑いながら。
「変な顔だな」
その手を払いのけ体勢を立て直し、抓られていた頬をさすった。
寝顔を見られていたのかと思うと、顔から火を吹きそうになる。
昨夜、私はあのまま社長の近くで朝を迎えてしまったのだ。
まだ閉じられたままのカーテンの隙間から、幾筋もの光が広い部屋に射し込んでいた。
ソファにもたれていたはずが、いつの間にか、いかにも高級そうなラグマットの上に横になっていた私。
そして社長は、ソファの上でうつ伏せになって手を伸ばし、私の顔にいたずらをしていたらしい。
「なんでこんなところで寝てんだよ」
社長は起き上がりながら、クククと笑った。