冷徹社長が溺愛キス!?
山でもそうだったし、会社の自販機でもそうだった。
社長も私同様にココアが大好きなんだ。
同じものが好きだというだけで、なんだか心がウキウキする。
「何をニヤニヤしてんだ」
笑っていたつもりはないのに、社長に指摘されて頬が緩んでいたことに気づいた。
「あ、いえ……」
慌てて表情を引き締め、『いただきます』とココアに口をつける。
お腹が空いていたせいか、胃にじわっと染み渡るようだ。
「腹減っただろ。食え」
社長はほかのパンも大袋から出して、私の前に並べた。
「またグウグウ鳴らされちゃ適わないからな」
「いつも鳴らしてるわけじゃ……ないんですけど……」
ボソボソと言い訳をする。
たまたまタイミングが悪く、社長に聞かれてしまっただけで……。
「これから満員電車でほかの乗客に聞かれたら、一緒にいる俺が恥ずかしいからな」