冷徹社長が溺愛キス!?
「これも同じ袋だし。まさか……」
麻里ちゃんは、パン屋の袋にも目ざとく気がついた。
「あのね、麻里ちゃん」
「社長とひと晩一緒だったの!?」
私が止めるより早く、彼女が驚きのひと言を発する。
それがあまりにも大きな声だったものだから、行き交う人たちの視線が私たちに向けられた。
その中に同じ会社の人がいなかっただけ良かったけれど。
「違うの、麻里ちゃん」
「えー? どう違うの? だって、昨日と同じ服、仲良く出社、同じ袋を提げてるって、ふたりで朝帰りですって宣伝して歩いているようなものだよ」
確かにその通りなだけに言葉を返せない。
ゆっくりと歩き始めながら、麻里ちゃんは「社長とひと晩一緒だったの?」ともう一度、興味津々に聞いてきた。
「これには、いろいろと深い訳があって……」
「どんな訳? それじゃ、一緒だったのは確かなんだね」
麻里ちゃんの目がらんらんと輝く。