冷徹社長が溺愛キス!?

その背中を見るにつけ、チクチクと胸に痛みが走る。
うしろ姿ですら美しい三木専務に、私が適うはずもないのだ。


「どうしたの?」


私の溜息に反応した麻里ちゃんも、私の視線を追った先に三木専務がいて、納得したかのように小刻みに頷いた。
そして、会社へ着きロッカーを開けたところで、私は思わず「あっ!」といつもより大きな声を出してしまった。


「なに? どうしたの?」


麻里ちゃんが隣のロッカーのドアを閉めて顔を出す。


「……あったの」

「何が?」

「……カギ」


排水溝に落ちたとばかり思ったカギが、何かの拍子にバッグから飛び出したのか、ロッカーの中にあったのだ。
それじゃ昨夜、排水溝にカギが吸い込まれていったのは、私の錯覚だったのか。
もしくは、落としても差支えのないようなものだったか。


「ね、奈知、詳しいことは、あとでちゃんと聞かせてね」


カギがここに残っていたことで、今朝の一連の出来事とリンクしたのか、麻里ちゃんは強い眼差しで私に訴えたのだった。

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