冷徹社長が溺愛キス!?
麻里ちゃんが優れた観察眼なのか、私が隠し下手なのか。
彼女は、真実を探るように私をじっと見つめた。
「本当だよ、麻里ちゃん」
もう勘弁してほしい。
社長のマンションに泊まったというだけで一大事なのに、キスされたなんて。
そこでまた昨夜のことを思い出して、さらに耳まで熱くなるし、心臓は早鐘を打つ。
麻里ちゃんの口から三木専務に漏れるとは思わないけれど、これは私ひとりの問題ではない。
社長の沽券に関わるのだ。
恋人がいながら別の女をマンションに泊めた上、気まぐれとはいえキスをしたことは、どう考えても倫理的にバツだから。
「……奈知がそう言うのなら信じるけどね」
ちょっと胸が痛い。
麻里ちゃんは諦めてくれたようだけど、できれば嘘は吐きたくなかった。
ピザをひと切れ私に取り分けて、麻里ちゃんは笑ってくれたのだった。