冷徹社長が溺愛キス!?
「……二週間後?」
「そうですが何か?」
わざわざ確認しに総務部まで来たものだから、てっきり明日の朝イチの予約なのかと思った私。
「あ、ううん。なんでもない」
見上げた顔を即座にディスプレイに戻した。
「ほら、やっぱり」
うしろから麻里ちゃんが顔を覗かせる。
「奈知が心配で来たのなら、素直にそう言えばいいのに。急ぎでもない会議の予約確認を口実にしなくたって」
ニヤニヤしながら麻里ちゃんが加藤くんを攻撃し始めた。
「……沢木隊員の低俗ぶりには逆に感心してしまいますね」
「て、低俗!?」
麻里ちゃんの声がワントーン高くなった。
「雨宮さんは、一応は同期です」
加藤くんが“一応”をやけに強調する。
「心配する義務は負っています」
義務って……。
少し寂しい言い方だ。
「加藤くんって素直じゃないよね。心配だから顔を見に来たって言えば済むのに」
麻里ちゃんは加藤くんを憐れむように言うと、自分のデスクへと戻って行った。
「……くれぐれも言っておきますが、メインは会議室の予約ですから」
ボソボソと小声で言う加藤くんに、私は頷いたのだった。