冷徹社長が溺愛キス!?

喜んでお見合いに臨むような相手じゃないことは、私自身よく分かってる。


「どうして私が相手だと知っても、お見合いを受けたんですか?」

「それを決断するために、あることを試した」

「……あること、ですか?」


そこでふと、『試したいことがある』と社長に迫られたことを思い出した。
マンションに泊めてもらったときの、あのキスだ。

一気に鼓動が加速する。


「キスの相性だ」

「……キスに相性があるんですか?」


そんな話は初めて聞いた。


「当り前だ。匂い、味、感触。それがしっくりこない相手と結婚するつもりはない。体は調教すればどうにでもなるが、キスはそうはいかない」


調教などと言われて、カッと顔が熱くなる。


「キスして違和感のある相手とは、結婚してもうまくいかない」

「それじゃ……」

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