冷徹社長が溺愛キス!?
今日、ここへ来たということは、私とのキスの相性は良い……ってこと?
疑問が表情に出たのか、社長は横目で私を見て頷いた。
「驚くほどに、奈知とはバッチリだった」
嬉しさに心が躍ったのは一瞬だった。
つまりそれは、好きだからということではない。
セフレと同じような感覚なのだ。
体だけの繋がりを求めるのと一緒。
社長は、キスさえ相性が良ければ、ほかはどうでもいいと言っているのだ。
顔も中身も関係ないと。
「なーに仏頂面してんだよ」
社長に、むにっと頬を抓られて我に返る。
ゆっくり視線を移動させて彼を見上げると、ニコニコと笑っていた。
どうして社長は、こんなにも晴れやかな顔をしているんだろう。
キスの相性がばっちりの相手を見つけたから?
それさえ良ければ、私じゃなくてもよかったということ?
ぐるぐると頭を巡る疑問が、私の胸をじりじりと痛めつける。
「あの……社長……」
「なんだ」
「……社長は私のこと――」