冷徹社長が溺愛キス!?
「……でも、やっぱり帰ります」
お見合い当日からデートは行き過ぎているというのは、建前上の理由。
本音は、社長とこれ以上一緒にいたら、その場の雰囲気に流されてしまうからだった。
「いいの? なっちゃん」
「うん」
心配そうに尋ねるお母さんに答えた。
「本日はありがとうございました」
彼の両親に頭を下げ、同じく挨拶をした自分の両親のあとに続く。
「奈知、あとで連絡するから」
社長の声に肩越しに頷いた。
スマホのナンバーをお互いに知らないことを思い出したのは、お父さんの運転する車が発進したときだった。