冷徹社長が溺愛キス!?
深紅のバラの意味


翌週の月曜日。
いつものように休憩室で、麻里ちゃんとふたりお弁当を広げていると、そこに加藤くんが現れた。
三木専務とのキスシーンを目撃して以来だった。

麻里ちゃんの隣に腰を下ろすと、例のごとく手作り弁当を小さいバッグから取り出す。
専務お手製のお弁当だ。
ついじっとその様子を見ていると彼と目が合い、メガネの奥の目を鋭く光らせた。


「今日はどんなお弁当かなー?」


真実を知らない麻里ちゃんが、興味津々に身を乗り出して彼のお弁当箱を覗き込む。


「うわー、今日もまたすごいね。ねぇ、本当のところは誰が作ってるの?」


『三木専務だよ』と言いたい気持ちをぐっと堪える。
ここで口を滑らせてしまったら、加藤くんからどんな激しい叱責が飛ぶかは容易に想像がついた。

それに、それを阻止するかのように睨まれていたのでは、口も利けない。


「って、ふたりで熱く見つめ合っちゃって、いったいどうしたの?」


麻里ちゃんが不意に私たちを見比べた。


「み、見つめ合ってなんて」

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