冷徹社長が溺愛キス!?

両手を顔の前でヒラヒラ振って、激しく否定する。


「そうですよ。どうして僕が雨宮さんを熱く見つめなくてはならないのですか」


加藤くんは、心外だとばかりに鼻の穴を膨らませた。


「そろそろ本当のことを言ったらどうなの?」


麻里ちゃんのその言葉に、関係のない立場のくせにギクリとする。

もしかして麻里ちゃんは、三木専務と加藤くんのことを勘付いているの?
まったく結びつきようのないふたりが、結婚していることを。

思わず息を呑んで麻里ちゃんを見つめる。


「加藤くん、本当は奈知のことが好きなんでしょ? 白状しちゃえばいいのに」


張りつめていた糸が急に緩められた。


「なんだぁ、麻里ちゃん。そっちかぁ」


思わず余計なひとことを言ってしまった。
加藤くんの目が殺気立つ。


「“そっち”って? ほかに何かあるの?」


麻里ちゃんは小首を傾げて私たちを見た。

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