冷徹社長が溺愛キス!?

「で、どうだったの?」


写真がパンチパーマだっただけに、私の相手にあまり期待はないのだろう。
麻里ちゃんは、「もう一個、玉子焼きちょうだい」なんて加藤くんにおねだりをしながら、ついでのように尋ねた。


「実はね……」


もったいぶるつもりはないけれど、登場した人物が社長だっただけに、すんなりと白状してしまっていいものか悩む。


「やだ、なによ、奈知。どうしたの? パンチより強烈な頭だった?」


ブンブン頭を横に振る。

パンチより強烈な頭って何だろう。
モヒカン? いっそのことツルツル?

そんなことをのらりくらりと考えていると、麻里ちゃんから「おーい、奈知ってば」と現実に引き戻された。


「あのね、相手が……」


周りに聞こえないよう声のトーンを落とすと、麻里ちゃんも加藤くんも身を乗り出して私に耳を傾ける。
加藤くんにいたっては、聞き漏らさないように両耳のうしろに手の平をかざしていた。


「速水社長だったの」


ふたりにすら届くか届かないか、か細い声で言った。

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