冷徹社長が溺愛キス!?
時が止まったかのように、ふたりの動きが止まる。
そして、パチパチと瞬きをゆっくり繰り返したあと、揃って「えー!?」と声を上げた。
その声に、休憩室内が一瞬だけ真空状態のようにシンと静まり返る。
チラチラと視線の矢を受けながら、私たちも少しの間だけ身じろぎひとつできずにいた。
「確認するけど、お見合い相手が速水社長だったの?」
私に顔を近づけ、声を潜めて麻里ちゃんが聞く。
それに私は頷いた。
麻里ちゃんは、「そんな偶然、信じられない」と何度も首を横に振った。
「でも、どうして社長がお見合いなんて」
「うちと同じく、親から心配されて迫られてたみたいで」
「でも、三木専務は? ふたりは付き合ってるんでしょ?」
そこで、つい加藤くんを見てしまう。
彼は私と目が合うと、片眉をキッと吊り上げて『言うなよ』と目線で訴えた。
「それは単なる噂だったみたいで」
「へー、そうなんだぁ」