冷徹社長が溺愛キス!?
さっきまで賑やかだった休憩室は、彼の登場で水を打ったように静かになってしまった。
みんなの目が一斉に私たちに向けられる。
“奈知”と呼び捨てだったのも、多分みんなには聞こえたのだろう。
「どういうつもりだ」
いつもより低い声で社長が私に詰め寄る。
「ちょっと来い」
彼は腕を取ると、私を立ち上がらせた。
「えっ、あ、あの……」
私の抵抗じゃ歯が立たないのは、もう十分わかっている。
手首を掴まれ、休憩室から引きずり出されるような格好で出た。
途中、行き過ぎる社員たちから好奇の目で見られながらエレベーターに乗り込み、最上階へと向かう。
社長室へ辿り着くと、掴まれていた手が解かれた。
「断るってどういうことだ」
閉じたドアのそばで、社長は壁に腕を突いた。
背中にひんやりとした壁が触れる。
強い眼差しで見下ろされて、咄嗟に目を逸らした。