冷徹社長が溺愛キス!?
昨夜、この前のお見合いをお断りすることを両親に伝えたばかりだったのだ。
返事を聞くまでもなく、このまま結婚の話を進めようと思っていたらしい両親は、最後まで納得してはくれなかった。
でも、こうして社長が私を呼び出しているということは、今朝早くにでも、社長のご両親に連絡してくれたのだろう。
“会ってみて嫌だったら断ってもいい”と言っていたのは、両親のほうだったからだ。
「……どういうって……そういうこと、です……」
ポツリポツリと答える。
だって、結婚する理由が、キスの相性だけでは悲しすぎる。
本音を言えば、社長が私のことを好きじゃなくても、結婚してそばにいられるのならと思わなくもない。
でも、私たちは、あまりにも違いすぎる。
私が三木専務みたいな女性だったら、自信を持って社長の隣に立てるのに。
「俺のことが好きなくせに?」
ズルイ言い方だ。
そのことが分かっているくせに、こうして私を翻弄するのだから。
「でも……社長は、私のことを好きなわけじゃ……ないですよね?」
声を振り絞って言うと、社長は目を少しだけ見開いた。