冷徹社長が溺愛キス!?
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集合写真の撮影が終わって、いよいよ六号車の私たちも登り始める。
いくつかコースがあるうち、麻里ちゃんと私は【滝めぐりコース】を選んだ。
滝でマイナスイオンを浴びることで登山の苦しみを少しでも軽減できるからという、麻里ちゃんの提案だ。
この時期なら、どのコースでもいろんな花を見られるだろうから、私は快く彼女に従った。
さすがに四百人も従業員がいると、何コースかに分かれても、前にもうしろにも同じ会社の人がいるから安心できる。
「……ねぇ、奈知、頂上はまだ?」
「やだなぁ、麻里ちゃん。まだ十分も登ってないよ」
標高にすると、バスを降りたあたりからはきっと十メートルも登っていない。
マップを見ると、コースタイムは頂上まで二時間半とあった。
「えー、もう無理かも」
「そんなこと言わないで頑張ろうよ。頂上で美味しいお弁当食べよう。ね?」
のんびり歩く私たちを、ほかの社員たちが「お先にー」と追い越していく。
その中には加藤くんもいて、「頂上へ着く前に行き倒れになりそうですね。捜索願いでも出しておきましょうか」なんてヒドイことをボソッと言い捨てていった。
しかも、山道だというのに軽く走っている。