冷徹社長が溺愛キス!?

とはいっても、彼が優しい人に豹変したら、それはそれで怖いような気がする。


「ささ、なっちゃんも――って、私ったらイヤね。奈知さんを馴れ馴れしく“なっちゃん”なんて」


福子さんは口もとに手を当てて「ふふふ」と笑った。


「いえ! そう呼んでくださると嬉しいです。家族にもそう呼ばれていますし」


なんだか急に親近感が増したように感じる。


「そう? それじゃ遠慮なく、そう呼ばせてもらおうかしら」

「はい、よろしくお願いします」


目の前に置かれた空の皿にベーグルをひとまず置き、膝の上に両手を揃えてペコリと頭を下げた。


「腹ペコだろ。これも食え」


そうしている間にも、社長は焼きたてのクロワッサンや白いミルクパンを私の皿に山盛りにしていく。


「え? え? ちょっと待ってください。そんなに食べられません」

「朝飯抜きで山を下りてきたんだ。腹が減ってないわけがないだろ?」

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