冷徹社長が溺愛キス!?

「ありがとうございます」

「じゃんじゃん食べろ」


デザートのリンゴとオレンジまで山盛りだ。


「いただきます……」


三人の視線を一身に浴びながら、ミルクパンを手に取る。

そんなに見られていると、ちょっと食べにくいな……。

視線を手元に落として、小さくかぶりつく。

――ん! なに、このふわふわ!

口にした途端、ほんのりとミルクの甘い香りが鼻から抜けていく。


「美味しい……」


感想が、ポツリと自然に口から出た。


「だろ? 福子さんのパンは天下一品なんだ」


それは納得。
二十七年生きてきて、こんなに美味しいパンは初めて。


「やぁねぇ、純ちゃん。お世辞がうまいんだから」

< 96 / 272 >

この作品をシェア

pagetop