アメトムチ。
庶務課の男性は、真田課長と、総務部部長兼人事課長の幸村(ゆきむら)さんくらい。
でも真田課長は50代の立派な中年オジサンで、もちろん既婚者。よって入社当初から恋愛対象外。
幸村部長は、30代後半の独身。
営業の上嶋(じょうじま)課長に次ぐ超モテ男として、社内では非常に人気高いけど、私のような平凡な女子が、部長のお相手だなんて、恐れ多すぎるというか・・・単純にありえない。うん。納得。
という目でしか、幸村部長のことは見ることができないので、あくまでも部長のことは、「自慢できるカッコいいお兄さん」的キャラに留めておく。よって恋愛対象外。
ゆえに、私の周りには、カッコいい男性が、いや、恋愛対象になるような、カッコいいと思える男性がいない!
という切実な理由もあり、出会いを求めて外出する機会を増やしたのだ。

でも、やっぱり出会いって、都合よくそうそうあるもんじゃなくて。
しかも私の場合は、一度だけエッチをしてくれればいいという前提で、その人が恋愛対象になるかどうかは、二の次だったから・・・。

自分から声をかける勇気がない代わりに、「この人は止めておこう」という理由ばかりを、自分の頭の中に並べていた。完全な言い訳だ。
これじゃあ、一歩踏み出すたびに、半歩下がってるような気がする。
でもやっぱり声かける勇気はない。
そんなことを繰り返して数回、始まってもいないのに、すでに挫折寸前だった私は、いいことを思いついた。
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