アメトムチ。
清正氏は、ゲームに関しては天才的とも言える頭脳と閃きの持ち主であるらしく、その才能をフルに発揮した結果、「ザ・戦国武将」シリーズや、「エーデルランド」というオンラインゲームを生みだした。
「エーデルランド」なんて、ユーザー数は数千万人にのぼるそうで、まさにこれは、「イ・ソノン」の代表ヒット作にもなっている。

ついでに彼は、ゲーマーでもあるそうで、その世界では「貴公子」と呼ばれているそうだ。
ゲームソフトの制作販売会社に勤めていながら、ゲームのことはチンプンカンプンな私には、意味不明だらけなんだけど。
まさに、私から見たら伝説的な人物。
そんなお方が帰ってくるなんて、まさに「帰還」だ。

「今まであった企画・制作部をなくして、技術開発局っていう名称に変えるんだって。貴公子は本社、つまりここの新局長になるために帰還するんだってよ」
「あぁそうなんだ」
「他にも営業部は、広報部って名前に変わるんだって」
「そう」

私たちが所属している総務部に変わりはないということなので、私は他人事のように軽く聞き流していた。
だって、たとえ伝説の貴公子が御帰還されても、私がいる庶務課には、ほとんど関わりがないから、彼と会うことは、最初の挨拶くらいだろうとしか、考えてなかったから。

< 16 / 78 >

この作品をシェア

pagetop