アメトムチ。
「てかなんでここなんだよ。他に席空いてんだろ?」
「俺、こっちじゃ新参者だから、知り合いがいる方がいい」
「ったく。相変わらずめんどくせーやつだな、おまえは」

より子と部長は、お互い視線を合わせず、それでいて敵意の火花を散らし合ってるように見える。
やっぱり、私の気のせいじゃないみたい・・・。
二人の間に何かあったのかな。
って、分からないことを気にかけたり、私だけヤキモキしちゃっても解決はしないんだけど。

この場の空気を全然読めてない野々瀬局長は、ニコニコしながら席に着いた。
そして「ゆきむらせんぱーい!席ここですー!」と言いながら、幸村部長がいると思われる方向を見て、元気よく手をふっている。

周りの注目も全然気にしてないのは、逆に慣れてるのかな。注目されることに。
だってこの人は、こう見えて社長の息子だし。
それに、オンラインゲームのヒット作を生みだした張本人だし。
ということは・・・この人、意外と図太い神経の持ち主かもしれない。
いたぶり上手な、Sッ気いっぱいのメガネ貴公子・・・あるある!十分ありえる!

私は心の中で身震いしつつ、向かいに座っているより子と目を合わせた。

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