アメトムチ。
「それで?原ちゃんがリクエストしたもの、野々瀬局長は買ったんでしょ?」
「うん。だってさ、いくら家では料理しないって言ってもよ?ミルクパン1コだけじゃあ、絶対足りないし。ていうか、そんな状態だから料理しないと思うのよ。だからせめて直径24センチのフライパン、1コでいいから買ってって。ついでに言えば、お皿もグラスもタオルも全然少なかったし。菜箸もない、フライ返しも持ってない・・・それだけじゃなくてね、なんか、いつの間にかピンクのマグカップが1コ買い足されてて」
「あ。それ、原ちゃん用だ」
「うわ。当たり!より子、よく分かったね」
「いやぁ。ピンクと来れば、大方予想つくでしょ」
「そーお?それだけじゃなくてね、私が好きな本、次の日には買ってきてくれたりとか・・・イーブックだったから、最初はよく分かんなかったんだけど」

でも、「ちーちゃん、これ読みたいって昨日言ってただろ?」と、サラッとした顔で言いながら、野々瀬局長がその本を買ってくれたことは、とても嬉しかった。

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