アメトムチ。
「な、なるほど。筋トレ、ってやつ・・・あっ!」
「痛かった?」
「だいじょうぶ・・・ののさん」
「何、ちーちゃん」
「好き・・・あっ、わたし、なんか・・・ど、どうしよ・・・」
「もうすぐ、かな。ちーちゃん。俺もすぐ・・・」

相手に触れたい、触れてほしいという欲望を満たすためだけなら、両脚を広げて、彼のを自分の胎内へ受け入れるその行為は、ただの「エッチな行為」と言えるかもしれない。
でもそこに相手と自分を思いやる心がこもったら。
自分も相手も「気持ちいい」という感情が入ったら。
裸になって、全てを見せ合い、触れ合うそのエッチな行為は、神聖なものへとシフトチェンジをするのかもしれない。

「あっ。ののさん・・・!」
「ちーちゃ・・・」

・・・あのとき。
札幌で出会ったあのとき、この人を誘って良かった。
そしてあのとき、この人が止めてくれて良かった。
もしあのとき、最後まで事に及んでいたら、私はこの人を愛することなんて、できなかったと思う。
たとえ再会できたとしても・・・。
ののさんだから・・彼だから・・・。
あぁ、私。この人を・・・!

「あ、愛してる。ののさん!愛してる!あぁ!」

気づいたばかりの気持ちを叫ぶように言った私は、嬉しさと、少々の体の痛みと、それ以上の快感を爆発させた。

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