いつかそんな日がくればいい。【短】
そして、ゆっくりと石造りの鳥居まで続く階段を上った。
「白田さん」
そう呼びかけると、彼女は俺を一瞥した後、何も言わず俯いた。
うっ!
や、やばいっ!
これはまさか……泣く?
俺から見た彼女の見解は、華奢で色白で背も小さくて、浴衣を着ているせいもあってか、凄くおしとやかそうな…いかにも、"女の子"。
まぁそれが、この子が学年一モテる所以でもあるんだろうけど…
俺はどちらかというと、こういう直ぐに泣いてしまいそうな女の子は苦手だ。
別に泣かれるのが嫌なわけじゃない。
ただ、泣かれるとどうしたらいいか分からなくなって、上手く慰めてあげられない自分も酷くみっともなくて、余裕なんてものがなくなってしまう。
だから、俺は吉川みたいに元気で明るい女の子に憧れるのかもしれない。
吉川の笑顔は、花が咲いたみたいに明るくて、いつも俺の心を和ませてくれた。
…って、そんなの誰も聞いてないって話だよな。
それにもう、いくら吉川が俺の好みであろうと何であろうと、この恋は終わらせなくちゃいけないんだから。