Clean up ~気持ちは片付きません!
「わわっ…///」
「ヒール、折れちゃったみたいだね」
両腕を支えられ姿勢を戻すと、指さされた左足のパンプスに目をやる。
そこには靴本体との境目で綺麗に分離したヒール部分が落ちていた。
「ほんとだ…」
「大丈夫…じゃなさそうだね」
「いえ、歩けますから…ってイタッ!」
歩こうとかかとの浮いた靴で左足に体重をかけると、足首に鈍い痛みが走る。
転んだ拍子に足首をひねったみたい。
「歩け…ないね。送ってくよ、俺、バイクだし」
「タクシーで帰るから大丈夫です」
こんな場面でも強がっちゃうのが私のよくないところ。
分かっているけど、こいつにだけは弱いところを見せちゃダメな気がする。
なのに…
「遠慮するなって、家、どの辺?」
「関係ないでしょ?」
「あるって!どの辺?」
「…南、、四橋です」
「オッケー。じゃぁ、行くよ、、」
亮汰は落ちたヒールを拾いあげると、私に背を向けしゃがんでくる。
「……なん、ですか?」
「おんぶ、駐輪場まで乗ってけ」
「は?なに言って―」
「こういうときは素直に甘えろよ、ほら早く」
「~~っ///」
こいつの勢いには勝てない。
私は恥じらい満点のまま背中に身をゆだねた。