Clean up ~気持ちは片付きません!
上手いことバイクに乗せられてきたけど、
問題はこのあと。どこでおろしてもらうかだ。
「とりあえず駅ついたけど、家の場所教えて」
「いえ、すぐそこなんで…ここで良いです」
「ここまで来たんだから、家の前まで送るよ」
「大丈夫です」
家まで教えたらなにしでかすか分かったもんじゃない。
無理に後部座席からおりると、ヘルメットを突っ返した。
かかとが浮いたままの左足はまだ若干痛みと違和感が残るけど、歩けないこともなさそう。
これならここから家まで5分くらい、もしかしたら行けるかもしれないな。
「遠慮すんなって」
「してません!もう歩けそうですし」
「そ?じゃあ良いけど。じゃな」
そういうと亮汰は軽く手を振ると、エンジンをふかし去っていった。
思ってより引き際が良かった。私はホッと胸を撫で下ろしたと同時に、心のどこかでこの先の展開を期待していたことに気が付く。
なに考えてるの私…
しばらく男の人って疎遠だったから、意識しちゃうだけ。
ただそれだけ。
「やっぱり足、痛いなー」
私はボソッと呟くと、駅前に停まっていたタクシーに向かって手をあげる。
送ってもらっても良かったかな。。と、今さらながらに思った。