Clean up ~気持ちは片付きません!
「ちょっと沙奈~!!いつの間に知り合っちゃって!…んもう、今朝なにがあったか教えなさい!」
仕方なく亜依とロビーで待つことにしたけど、やっぱ聞いてくるよね…
「…あー、今朝ラウンジでね、コーヒーこぼしちゃって。掃除してもらっただけだよ」
「まじ?それだけでランチ誘われるとかある!?」
「ある、んじゃない?」
「いいなー、私も今度コーヒーこぼしてみよっかな」
「…そだね」
いくら亜依が同期とはいえ、そこから先のことは言えない。
私は出来事の前半だけ伝えると、適当に相槌を打ってスマホに目をやった。
「にしても噂通りのイケメンだったね~!ランチ誘ってくれるなんてラッキー!あとで連絡先おしえもらおっと」
「あれ?亜依、この前の合コンで知り合った人と上手くいってるんじゃなかったっけ?」
「それが全然っ!お金はあるんだけど顔は普通よりちょっと良いだけだしぃ、デートも面白くないしー、、あっ、きたきた☆」
亜依はニッコリ笑って建吾に手を振る。
その目はすでに好みの顔ですっ!ってのがバレバレ。
さすが恋多き乙女。
「おまたせ、ごめんね、急に誘っちゃって」
「いえいえ、いつも沙奈と2人なんで飽きてきたところなんです~。だから誘ってくれて嬉しいです」
おいおい、私をだしにつかうなよ。…というか誘われたのは私ですよ。
なんで思いつつも恋する乙女の言うことは真に受けても仕方ない。
私は亜依と亮汰から遅れること3歩、オフィスタワー1階にある洋食屋へと入った。