オレ、教師。キミ、生徒。
今度こそ教室から出ようと足を踏み出した時、クラスの生徒からボソボソと話し声が聞こえた。

俺は、足を止める。

だって、『由茉……』って聞こえたから。

「無理してないかね」

「由茉でしょ?」

「そうそう。彼氏と別れたって聞いたけど、あれってやっぱり空元気ってやつ?」

「だとしたら、見ていて痛々しいんだけど」

「ねー」

「だって、こないださ……」

そこまで聞いて、俺は教室を後にした。

職員室へ向かう間、俺の頭の中はさっきの女子生徒の会話が繰り返し再生されていた。
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