オレ、教師。キミ、生徒。
彼氏と別れた……?

なぜだ?

あんなに仲良さ気だっただろ?

俺はいつか見た、舘野が彼氏の腕を掴んでニコニコ笑っていた時の事を思い出した。

それなのに……。

「あれは、空元気だったのか」

気が付かなかった。

いつもの舘野だと思っていた。

こう言う場合、励ました方が良いんだろうか。

丁度今から二人で星の観察だ。

その時に、それとなく原因を聞いてみようか。

……いや、部外者の俺が口を挟む事じゃないだろう。

それに、舘野の傷が癒えていない場合、その傷口をえぐる事になる。

そんな事はしたくない。

「こう言う時、教師なんて役に立たないもんだな……」

窓から見上げた夕焼け空に、一番星が輝いていた。

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