そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
公園を抜けて、幹線道路に入ろうとしたところで、ぽつぽつと雨粒が落ちてきた。


「雨だ」と言ってるころには、まとまった雨が降り出して、歩いてる人たちが傘を出したり、駅まで走っていこうと追い抜いて言ったりした。


「今日、予報で降るって言ってたっけ?」
私は、自転車を引いて帰るってことが、ますますばからしく思えていた。


「夜遅くにな」

彼もあきれて言う。
多分、長井もそう思ってるんだろうな。


「どうしよう」
ここで、立ち止まってる間にすでにびしょ濡れになってきてる。


「仕方ない。後ろに乗れ」
すでに、私は、長井に自転車のハンドルを取り上げられた。


「ダメじゃない。飲酒運転」



「公園を海沿いに行けば、俺の家まで割と近い。とりあえず雨宿りしよう」



「長井……」


「早く、本降りになる」



彼の言ったっ通り、四月の冷たい雨が勢いよく降り出してきた。

私は、彼に腕を回して、しっかりとしがみつく。

前にも、この自転車でも同じように二人乗りをしたことがあったなと思った。

あのときは、この自転車も新品だった。



公園を突っ切って、元町駅に向かう途中で長井は、自転車を止めた。
「ええっ?もう着いたの?」


長井が住んでるマンションは、通勤の途中によくとおる場所にあった

毎日目にして覚えている。割と大き目のマンションだった。

長井について、駐車場の隅にある、駐輪場に自転車を置かせてもらうことにした。

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