そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「付き合い始めた頃みたいじゃない?」
私にとっては、いい思い出しか残ってないのに、なぜか、彼は顔をゆがめて表情を曇らせた。
「ああ、俺にとっては最悪だったな」
相当重症のスネオ君だ。機嫌なおってないのね。
「最悪?そんなにひどかったの?」
「ほんと鈍くて、全然反応してくれなかったから、君は。
最初に好きだって、死ぬ気で打ち明けたのに、ありがとうございますってあっけなく真顔で返されて、一回目は、それで終わった」
「ごめん、あんまり、さらっと言われたから、そういうのってみんな、職場でのコミュニケーションの一部だと思ってたの。だから、ただお礼を言えばいいのかと思ってたの」
「ちょっと、待てよ。そういうのって、俺一人じゃなかった?」
危ない。火に油を注ぐところだった。やけに鋭いやつ。
「そんなの、とっくに忘れてる。でも、それだけじゃダメだってv、詰め寄ってきたのは、あなただけだった」
「ちょっと、待って。OKしたのってそれだけの理由で?」
「そんなわけないでしょ?」
「俺は、みんな断ったけどな。どうしても好きな子がいるって」
やっぱり、機嫌が悪いのね。
「今でも、その気持ちに変わりない?」
「どうかな。違うかも」
「長井?ええっ?」