そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「大丈夫。たくさんページがあるように見えるけど、見るところは、それほど量はないから」
彼は、伸びをするように、両手を上げる。
「何するの?これ」
「何って、まずは読むのよ。読んで理解する。決まってるじゃない」
それ以外に頭に入れる方法があれば、教えて欲しい。
「契約書を?ずっと読んでろと…」
彼は、疑わしそうに私の顔を見る。
「読んで理解したら、実際にここでやっている手順で作成してもらいます」
私は、ちょっと意地悪を言う。
契約書を作るまでは、プログラムに入っていない。
「作成してもらうって、冗談だろ?お前、俺を殺す気か?」
「人聞きの悪い。その程度で死ねるなら、それまでってことね」
「ひでえやつ」
「あのねそのうち、大きなプロジェクトの責任者として、自分の責任で印鑑を押すようになるのよ。いつまでも、誰かに用意してもらったものを、そのまま印鑑押してちゃダメじゃないの」
彼は、わかった、わかったと手で私の意見を押しとどめた。
そして、少し考えてから言った。
「長谷川さんは、こんなの、軽くこなしてた?」
「長谷川課長?、とても優秀だったから、最後は、私より詳しくなってたよ」
私は、考えなしに思ったことを言ってしまった。