そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~


「どうしたの?」

優人は、1時間ファイルとにらめっこしてたけど、目頭を押さえて疲れた……
と伸びをした。


「ダメ。ギブアップ。もう見たくないよ、それ」
私は、だらしないなあと言って笑った。


「まだ、1時間しかたってないよ。あきらめるな」ファイルを優人の前で、トントンと叩く。


「これ、どうせ、みんな同じじゃないか……っていうか、
こんなの見ても、何がどうなってるのかわからない。
言ってることはぼんやり分かるけど、自分で契約書を作れって言われても……」


「分かるようにするために、勉強してるのよ。それに、相手先から聞かれたらどうするのよ」


そうはいったけど、優人の言う通り、何年も勉強して身に着けてきたものを、たった数時間で、自分のものにできるわけがない。


他の人には、早々に切り上げて表面的な、内容の説明で終わってた。

でも、優人は向きになるからそのまま彼の反応を見ていたのだ。新人の頃のようで懐かしかった。


「詳しいものに聞くからって、言えばいい」


「詳しいものは、あなたでしょ?」


「なんで俺?こんなの見てると眠くなるのに。俺、亜湖みたいに法学部出身じゃないし」


「これからは、やりたくないって、逃げ出すなんて出来ないんでしょ?エリートさん」


「おちょくるなよ、亜湖。それより、
ごめん。ちょっと、いいかな……」


彼は、近くに来てと手招きしてる。


「何?」

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