そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

「何よ、それ」
私は、さっきよりも強く肘を突っついた。そんなこと、初めて聞いたよ。


「えっと、緑川さん?」

「はい」

驚きだ。部長が私の名前を呼んでる。
今日は、長井の付き添いだとばっかり思ってたのに。


「君は、偉いね。女性だからと言って、サポート役ばかりやらされるのではなく、法務部の担当者として男性社員にも負けないくらい頑張りたいんだって?」


「えっ?」

誰がそんなこと言ったのよ?

私は、そんなこと1度も口にしたことも、考えたこともありませんが。


「そうなんです。この、緑川さんは今後、うちの社でも力を入れていく、女性参加プロジェクトの先頭を切って男性に負けない仕事をしたいんだそうです」

私は、驚いて目を丸くした。


あああ?何だ、それ?

ちょっと、あんた、何を勝手にそんなことしゃべってるのよ。


「長井、なに?それ」
私は、テーブルで隠れて見えない長井の足を、思い切り蹴っ飛ばした。


「亜湖、ごめんな。黙ってて。でも、こうして予想外に褒められた方が、喜びも増すだろ?」

「増すわけないでしょ?急に理由もわからなくて、褒められたりしたら、変に思うわよ」


はっはっはと、大きな笑いが部屋中に響いた。

恵比須様は、豪快に笑った。
きっと、恵比寿様もこんな風に笑うんだろうなと思った。
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