そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「ほおお。緑川君は、頼もしいじゃないか。
君は、実力を証明するために、働きながら司法書士試験にも合格したんだって?」
部長が満足そうに笑う。
「長井君の言う通り、社としても、女性が法務担当者として、重要な業務について力をつけていくことを応援しようと思ってね」
部長は、コロッとした丸い手を私の前に差し出した。
「はあ」
「よろしく頼むよ、緑川さん」
私も、それに応えた。
部長の手は、ふかっとして柔らかく、温かかった。
「それで?長井君、君は、早速一緒に現場に入って、緑川君と組んで事務方としてプロジェクトのサポートに当たってくれるんだって?」
「はい。そのつもりです。差し当たり、ちょうどこれから動き出すプロジェクトがありますので」
「経理の方の審査は、問題ないみたいだね」
工事にかかる資金は問題ない。長井は経理担当者と昨日、詰めて話し合ったと説明した。
「はい。そちらとも連携して、スムーズに動けたらと思います」
「期待してるよ。関西では、いくつか実績があるからね。こっちでも軌道に乗るといいね」