そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「違うって。亜湖に不満があるわけじゃないって」長井は、頭をブルッと振った。
「じゃなに?私じゃ、乗り気じゃない?もっときれいで相応しい人のところに戻りたいとか?」冗談にして笑う。もう、どうでもいいや。
「ち、違うって」
言葉が見つからない、とでもいいたげに、もどかしそうに言葉を探してる。
「いや、そうじゃないって。教育自体は必要だと思ってるさ」
「気が向かないなら……研修なんて、途中で止めても構わないわよ。資料だけ渡しておこうか?」
「どうしてそんなに、向きになってるの、亜湖?」
「どうしてって?」私じゃだめだっていうからよ。
「せっかく期待して……何でもない。会社辞めた方がいいのかなって思ってるだけ」
長井が、まったく考えてなかったみたいに、本当に驚いていた。
「会社辞めたいって?なに、それ、本気なの?」
長井と同じプロジェクトで、ずっと顔を合わせることになるって聞いて思いついたんだけど。
「どうなんだ?答えろよ」
長井近すぎ。少し離れてよ。
「わかんない。だから、まだ、決めたわけじゃないって」
長井は、急に考え込んだ。
そして、いいにくそうにいう。
「この話、長谷川課長に話してるの?」
課長がどうだというのよ。
「ええ……多分。
話したことがあると思うけど」
「そうか……長谷川課長とずいぶん親しいんだね。将来のこと相談するくらいに」
将来のこと?
そんな話、したっけ?
話しをしたから、どうだというの。
「それが、どうかしたの?」
「いや、別に。何でもないって。
それ、 もらうよ」