そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

お昼休みが終わると、早速、法務部の後藤課長に呼ばれた。後藤課長は、私達の直属の上司だ。

私だって、気がついている。

恵比寿様のような秋山部長と、妖怪の化身、カッパの沙悟浄のような後藤課長とは、初めから肌が合わないことは。


「あのさ、聞かれて困る様なことは、無理に答えなくていいからね……」

長井も、私が、ばか正直に、何んでも答えないように釘を刺してきた。


物のいい方はすごく優しいけど、言葉の中身は、割りとキツイ時もある。


「何かあるの?」

「時間がない。詳しいことは後で話すよ」

会議用のスペースに、長井と並んで座らされた私は、長井が課長から尋問のように、いろいろ質問されてるのを、他人ごとのように聞いていた。

後藤課長は、多分、40才くらい。

入社してからずっと法務部にいる。

新人の頃、研修で、作業所勤務を経験したけど、出来れば戻りたくないって思ってるはずだ。

建設現場の、職人さん達に囲まれるなんて、ごめんだ。
法律の及ばない世界には、2度と足を踏み入れたくないと思ってる。






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