そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「課長とは、いつから付き合ってるの?」
長井は、まだ引き下がらない。
「課長が来て、しばらくしてから……」
そこは、考えてない。
「しばらくしてって、いつだよ」
「いつって、そんなのはっきり覚えてないよ」
「そんなわけないだろ?女ってそういう事よく覚えてるじゃないか」
何をそんなに向きになってるのよ。
「私は、あなたがよく知ってるような女の子とは、違うだけよ」
「亜湖は本当に長谷川課長の事……」
「ほら、また心配になる。うまく行ってるから大丈夫だって」
「そうか。そうだね余計なお世話だ。じゃあ、今度は飲み会来るよね。俺の歓迎会だし」
「うん」
「亜湖さあ、」
「ん?」もう、まだあるの?
「彼氏のことなんて呼んでるの?」
「い?」
「い、じゃねえよ。まさか、長谷川課長って呼んでんじゃないだろ?」
「も、もちろん。違うよ」
ちょっと待って、うかつだった。やばい。打ち合わせしてない。
「まさか、彼氏の名前知らないってことないよね。亜湖?」
「そりゃそうよ」図星だ。
あの人を課長っていう以外に何て呼ぶのよ。
「長谷川?何って言う名前だっけ?」
「名前なんて、恥ずかしくて……」思い出せない。
なんだっけ?ユウ……なんとか。
「ほら、思い出した?ちゃんと言えないと、課長に言うよ」
「ああ、そうだ。紗和に名前聞かれて、答えたの思い出した!!長谷川祐介だ。二人だと、祐介さんって呼んでるよ」
よかった。思い出した。
「なんだよ、そのままか。つまんないな。けど、亜湖、付き合ってる男の名前くらい覚えとけよ」