そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

由奈ちゃんが、立ち上がって、これでお開きですと大きな声で叫んでる。

遠くで由奈ちゃんの声を聴きながら、太田さんが私にぴったりくっついて言う。

「さあ、移動しようか。雰囲気のいいとこ知ってるんです。そこ行きませんか?」


「えっと、やっぱり今日は細かいとこまで頭に入らないし。止めておきます」
私は、そういって頭を下げた。

「わかった。それなら、今日は、お互いのこととかもっとよく知るために、飲みなおすのはどう?」
太田さんも、引いてくれない。

「それも、次回にしませんか?それに、今日は風が強いし。電車が止まったら帰れなくなりますよ」

今日は、午後からビル風だけじゃない。春の嵐のように強い風が吹いていた。


「それも、何とかするよ。ねえ、亜湖ちゃん」


部屋の奥の方に座っていた私たちは、最後の方に店を出た。

太田さんがゆっくり支度をするので、集団から大分離れてしまった。
紗和の姿も、由奈ちゃんの姿も見えない。

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