お嬢様、「おやすみなさい」の時間です。
増えたものと減ったもの
眠る時間が増えてきた頃から、私のなかで少しずつ減っていったものがありました。
それは「楽しみ」と「笑顔」と名付けられたものでした。
減っていった、というのは少し語弊があるかもしれません。
それらは名前を変えていったように感じます。
「楽しさ」は「苦しさ」へ。
「笑顔」は「偽り」へ。
それぞれ名前を変えて私のなかに留まりました。
それは何年にもわたり相互への変化を繰り返していました。
私はそれを繰り返すたびにまた一つ心に小さな穴を開け埋められずにいたようです。
気付けば私は笑うことを躊躇うようになりました。
しかしそれに気付く友人はおりませんでした。
そして「偽り」はいつしか「嘘」と呼ばれるようになっていたのです。