現代妖怪会談
キツネはおにぎりの無くなった風呂敷をたたみながら言う。

「お化け屋敷が流行ってるみたいですね。」

タヌキが奥歯に詰まったご飯を指で取りながら言う。

「お化け?幽霊の間違いやろ?」

キツネがパンッとたたんだ風呂敷を叩くと言う。

「細かいことは言いッコなしです。」

犬神が言う。

「そこに出てはどうかにゃ?」

キツネが言う。

「それがですね…幽霊のヤツラがすでに出てるんです。」

犬神が悔しそうに言う。

「全て先手を打たれてるわけか…なぜじゃ?」

キツネが犬神を見て言う。

「たぶん、元が人間なので流行りに敏感と云うところでしょう。」

犬神が言う。

「単純な話、人間か幽霊を仲間にしてしまえば良いのじゃないかじゃ?」

キツネが言う。

「たとえば?」

犬神は少し考えると答えた。

「雪女とか、ヒバゴンとか、ろくろっ首とか、それこそ…ぬらりひょんとか…」

タヌキが突然しゃべりだした。

「犬神はん!それは、人間体型した妖怪でんがな!」

キツネが頷く。

タヌキは続ける。

「雪女は雪の精やし、ヒバゴンは神様の類いやし、ろくろっ首は飛頭蛮ゆーてれっきとした妖怪やし、ぬらりひょんは零落組やで?」

犬神が言う。

「う~ん…じゃあ、学者の幽霊を仲間に入れるとか…」

キツネとタヌキは「ん?」と言うと興味深そうに犬神を見た。

< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop