現代妖怪会談
「え…え~と…」

犬神は、二人の反応が意外だったので言葉に詰まった。

キツネが眉間にシワを寄せながら聞いた。

「どういうことですか?」

犬神は、また怒られるのを覚悟して言った。

「その…妖怪に詳しい学者の幽霊を仲間に入れて考えてもらったりとか……」

タヌキが犬神にやたらと近寄り言う。
顔が目の前まできて、とても恐い。
目が血走っている。

「誰や?誰やそれは?」

犬神は小さな声で目線を天井にそらしながら言う。

「い…井上…円了…とか…」

タヌキが言う。

「井上円了ぉ~!?」

犬神は、小さな悲鳴を「ヒッ」と出すと言い直した。

「いやいや…折口信夫とか…」

キツネも犬神の顔に近づくと恐い表情をして言う。

「折口…信夫?」

犬神はヒキツリながら笑って言う。

「えっと…じゃなくて、平田…篤胤?ハハッ…」

キツネとタヌキの二人は目を丸くして驚いて言った。

「平田篤胤ぇええぇ~~!?」

タヌキはやたら大きな声で犬神に言う。

「やったで!犬神はん!だてに神さんちゃいまんな!」

キツネも興奮して言う。

「それは名案ですわ!そんなビッグネームが妖怪の味方になれば間違いなく打開策が見つかるはずですわ!!」

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