現代妖怪会談
キツネが膝をひとつ叩くと言う。

「なかなかの名案が出てきましたね!」

タヌキが言う。

「ほんで、犬神はん?霊格の低い巫を見つける方法は?」

犬神はまた下を向いてボソボソ言う。

「それが難しいと思うが…」

キツネが言う。

「それはタヌキさんが一番詳しいんじゃないですか?」

タヌキは腕組みをすると言う。

「そりゃそうか。」

顔を上げて犬神がキツネに聞く。

「なぜじゃ?」

キツネがタヌキを見ながら言う。

「こちらのタヌキさんは霊能者ブームの時、インチキ霊能者にたくさんイタズラをした方ですから。」

タヌキは鼻を掌で擦ると笑いながら言った。

「化けて出たら、すぐに霊能者を廃業しやがったよ!」

犬神は好奇の目でタヌキを見る。

キツネが言う。

「まずは、インチキな輩はどんな輩か教えてもらえますか?」

タヌキは目を瞑りゆったりと時間を持って喋り出した。

「インチキな輩ね…まず、すぐに物を買えって言うヤツらやな。壺とか御守りとか、仏像なんてヤツらもいたな。」

犬神が言う。

「御守りと仏像は何とかわかる気がするが、壺とは??」

タヌキが言う。

「壺は美術品やから、もともと正式な値段がつけられへん物やねん。それを悪霊から身を守る道具ってことにして、むちゃくちゃ高い金額で売り付けるわけや。」

キツネが言う。

「人間の法律で引っ掛からない様に美術品にしたんでしょうね。」

犬神が言う。

「なるほど。御守りと仏像は?」

タヌキが言う。

「犬神はん。御守りとだけ書いた巾着袋が恐いか?仏像の形をしたコケシが恐いか?」

キツネが言う。

「聖性も加護もない、ましてや黄泉の力も効いてない見かけ倒しにもならない物ってことですね。」

犬神は頷きながら言う。

「なるほど~。インチキを見破る方法は他にはないのかや?」

タヌキが言う。

「正式な場所で呪文とか念仏しか唱えない輩はインチキやな。」

犬神が言う。

「正式な場所っていうのは、社や道場とかのことかや?」

キツネが言う。

「そうですね。神様の助けを借りて悪霊を祓う場所のことです。」

犬神がまた質問する。

「呪文や念仏しかって言うのは、どういう意味じゃ?」

タヌキが笑いながら言う。

「ありゃアホやな。力を得る方法を知らんのやろ。太鼓や鈴とか音が出る物で周りを清めたり、神さん仏さんを寄せ付けやすくするのにな。」

犬神も笑う。

キツネが笑いながらタヌキに聞いた。

「他には?」

タヌキが突然、口をキュッと閉じてから言う。

「真っ赤な、やたらと速い車を持ってる輩はインチキやな。」

犬神が言う。

「それはなんとなくわかる。」

3人は大笑いした。




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